インバウンド(訪日外国人)が増えている富士北麓(ほくろく)。インドネシアやマレーシアをはじめ、イスラム圏の観光客も少なくない。
ホテルではイスラム教の戒律にのっとって、豚肉を使った食品やアルコール飲料は一切提供していない。調味料類も日本ハラール協会が認証したものを使っている。
配慮しているのは食べ物や飲み物だけではない。男女が同室する場合は結婚している証明書が必要。ホテルは8~12畳の7部屋(定員2人)とファミリールーム1部屋を備えるが、それぞれシールで礼拝を行う方向が分かるよう配慮した。礼拝室もあり、体を清める「ウドゥー」のための水場も備え付けた。
ムスリムが安心して宿泊できることから3~5泊する宿泊客も多い。ホテルを起点にして東京方面に出掛ける人もいるという。ホテルに滞在するムスリムはいずれも礼儀正しく、深く感謝されることもある。山下さんは「昔の日本人を思い起こす」と話す。
ただ、誤算もあった。町内の宿泊客はムスリムではなく、中国系観光客が主力となっている。「マレーシアやインドネシアからやってくる観光客は裕福な華人が多い。海外に出られるイスラム教徒はまだ少ない」と感じているという。
客室の稼働率は現在30%。「観光業者には社会的責任がある。ムスリムを受け入れる友好の場所が富士山麓に欲しかった。5年間は赤字を覚悟している」と今後に期待を寄せている。【小田切敏雄】
<所在地>富士河口湖町船津6713の1<料金>5400円から(素泊まり)。朝食1080円から、夕食1620円から。<電話>0555・83・5588
/309